のっぽろカウンセリング研究室が提供するカウンセリングについて説明します。当カウンセリングルームが行っているカウンセリングは一種類のみです。それは「多元的ブリーフセラピー」と名づけられたもので、セッションの回数が制限された、短期集中型のカウンセリングを意味しています。一般的には、時間制限短期療法と呼ばれています。
一種類とは言うものの、カウンセリングの効力を高めるために、実は複数のアプローチが組み込まれています。いわゆる、折衷的・統合的な方法です。10年間あれこれと試行錯誤をして、いまのスタイルが完成しました。たとえて言えば、和食、中華、イタリアン、フレンチなどを折衷した創作料理のようでもありますし、いろいろな具材が入っている五目御飯のようでもあるでしょう。
では、概要をお話ししましょう。
回数・頻度・期間
カウンセリングの回数は基本的に4回です。それにプラスして、最初のインテーク面接と、カウンセリング終了後のフォローアップ面接があります。4回という回数制限にもかかわらず、相談者のご事情や変化に合わせて、何度か回数が増えることもあれば、減ることもあります。
短期集中型のカウンセリングです。セッションは2週間に一回を基本とします。なので、始まってから終わるまで、だいたい三カ月くらいを見込んでください。インテークから最後の四回目のセッションまでが二カ月、最後のセッションからフォローアップまでが一カ月くらい、全体でだいたい三カ月になります。
すべてのプロセスが終了したら、お別れになります。継続カウンセリングへの移行はありません。さらに心理的な援助が必要な方は、別の相談機関をお探しください。当カウンセリングルームは、その際に特定の機関をご紹介するようなことは致しません。ただ、一緒にネットを検索して、どこかよいところはないものか探すお手伝いはできます。
カウンセリング終了後、継続カウンセリングへの移行はありませんが、その後相談者に何かあったときには単発のカウンセリングであればお会いすることができます。年に一度のフォローアップ面接をずっと継続することは可能ですから、遠慮なくご連絡ください。
1セッションの時間について
多くのカウンセリングルームでは、セッションの時間を50分くらいに設定しているようです。のっぽろカウンセリング研究室では、このような時間設定を行っていません。ちょうどきりの良いところで終わるという方針にしています。
とはいえ、延々と1日中行うわけではありません。だいたいの方は90分~120分くらいで1回のセッションを終了します。経験から言って、60分ではやや不完全燃焼に終わるところが、90分くらいあればグッとお話が深まるかな、という印象を持っています。
ちなみに1日中行うカウンセリングもあります。シングル・セッション・セラピーというやり方で、休憩をはさみながら朝から夕方までマラソン・セッションを行います。カウンセリングはこの一回で終了となります。ご希望の方はお問い合わせください。もちろん無料です。
心理テストを使った話し合い
自分はどうしてこうなんだろう、頭ではわかっているけどやめられないことがあるなど、相談者の皆様には様々なお悩みがあるはずです。そのような気になっていること、知りたいことなどを、心理テストの結果と照らし合わせながら、考えたり、感じたりするためのセッションが組み込まれています。目指すのは、自己理解を深めること、深い感情体験をすることです。
1回目のセッションで、気になっていることや知りたいことが何であるのか、じっくりと話し合います。次に心理テストを行います。心理テストの結果から、相談者の気になっている悩み事をどのように理解すればよいのか、2回目のセッションでじっくりと話し合います。
この2回目のセッションでは、自分の気持ちに深く触れて、気づきを得たり、情動的な洞察に至って心が震えたりで、知的な理解を超えた感情体験をする方が少なくありません。その意味で、とても重要なセッションになる可能性があります。
VTRを視聴します
録画された、最初のインテーク面接の場面を少しだけ視聴します。これは3回目のセッションになります。自分の姿を他人の目で見てみる、ちょっと距離を置いてみてみる体験をします。
見終わった後に感想を伺います。また、映像の自分に話しかけてもらい、自分自身と対話してみる時間も取ります。何か新しい発見があるかもしれません。
自分の映像を視聴することに苦痛を感じる人もいますから、無理強いは決して行いません。話し合って、見ないことにする相談者もいますし、見ることになっても途中で耐えられなくなったらすぐに視聴を中止します。
ホームワーク-お手紙
カウンセリングが終わって帰宅してから、セッションの感想をお手紙に書いていただきます。手書きでも、ワープロソフトによる作成でも構いません。インテーク面接+3回のセッション分ですから、全部で4通の手紙がたまることになります。書いた手紙は、次回のセッションのときに持参してください。カウンセラーが、4回目の「手紙を読み上げるセッション」のときまで保管しておきます。
お手紙の内容は、その日のカウンセリングを振り返って印象に残っていること、口にできなかったこと、その他です。カウンセラーに対して語りかけるようにお書きください。カウンセラーも、同じようにお手紙を書き溜めています。なお、急ぎのご相談は手紙に書かずに、直接お話しください。カウンセラーは、4回目のセッションまで、相談者の書いたお手紙を開封しないことにしています。
たまったお手紙は、4回目のセッションのときに、互いの目の前で、交代して読み上げます。そうすることによって、3カ月にわたるカウンセリングを振り返る作業を行います。相談者だけでなくカウンセラーにとっても、実に様々な発見があるセッションになります。
ホームワーク-自己観察
5分程度でできる質問票への回答を、自宅で毎日行います。自己観察・セルフモニタリングと言います。質問票の内容は、気分や感情、否定的な思考、身体感覚などを問う質問項目からなっています。1日が終わって就眠する前にその日を振り返ってみて、今日の自分はどんな感じであったか評価してもらいます。
この質問票は、研究データとして使用させていただきます。また、カウンセリングが終了してから、すべての結果を折れ線グラフにした図とその解説を、レポートにして自宅に郵送いたします。何か新しい気づきが、ここでも生まれるかもしれません。
この自己観察のホームワークは、すべての方が対象となるわけではありません。お悩みの内容によって実施しない場合もあります。
ホームワーク-音声の聴取
相談者の皆様には、すべてのセッションをICレコーダーやスマホのアプリで録音するようにお勧めしています。これは、帰宅してから自分の声を聞いていただくためです。やはり映像を視聴することと同じで、自分自身を客観的に眺めてみることを目的にしています。
ただ、やはり自分の映像を見ることと同じで、自分の声を聞くことが苦痛な方も少なくないと思います。その場合には無理にお勧めすることはありませんので、どうぞご安心ください。
リサーチのための心理テスト
複数の心理テストのセットを、インテーク面接、4回目セッション、フォローアップ面接のときに、合計三回行います。それには、不安、抑うつ、否定的認知などを測定する尺度が含まれています。この心理テストのデータを、研究用に使用させていただくことになります。
この三回分の心理テストのデータは、ご本人にもお伝えします。すべてのプロセスが終わってから、三回分のデータをグラフにして、レポートを書いて、ご自宅に郵送します。必ず、そのレポートに対するご感想、お返事をお手紙で送ってください。
その他の重要なこと
このように、多元的ブリーフセラピーは、毎回行うことがある程度決められたカウンセリングです。ここに示したのは、その基本型です。しかし、すべての方にすべて同じことを行っていただくわけではありません。一人一人のお悩みや個性に合わせてさまざまな修正を行い、その人にとって無理のない、自然な回復プロセスの促進を大切にしています。
1回のセッションにたっぷり時間を取りますから、いろいろなことは行いますが、毎回のカウンセリングの実際の内容は相談者のお話を聞くことが中心になります。それから、相談者のニーズなどにもよるのですが、ただお話を聞くだけでなく、必要に応じて助言したり、同意のうえで積極的にホームワーク(宿題)に取り組んでいただく場合もあります。
いずれにせよ、短期集中型の内容豊富なカウンセリングです。短期的に効果を上げるための様々な工夫が組み込まれています。興味のある方は、このサイトのほかのページもどうぞお読みください。